古黄檗拝塔報告
−黄檗宗青年僧の会発足20周年記念訪中団−




「発足20周年記念古黄檗拝塔を終えて」

発足20周年記念事業実行委員会
    沼田善仁

当会も今年で発足20周年を迎え、その記念事業として古黄檗拝塔を企画、6ヶ月が過ぎ無事拝塔も終えることが出来、ここに訪中の報告をさせて頂きます。

 11月5日、我々青年僧の会一行約50名は寒風の中、各地より関空に集合し、円会長が団長の下、結団式を行い参加者全員が心ひとつになり、関空を後にして空路上海を経て福州に向かいました。古黄檗のある福建省は台湾の西側に位置し、冬でも温暖な土地と自分の中で思い込んでいたのですが、夜にこの地に着いたせいもあり肌寒く、夏衣を用意してきた事を後悔してきました。

 次の朝7時30分にロビーに集合、僧侶は色衣でバスに乗り込み古黄檗へ。4年前に本山からの第八次訪中団に参加して以来の拝塔で本当に中国の発展著しく、古黄檗のすぐ傍まで高速道路が通っておりとても驚きました。

 午前9時に古黄檗に到着、爆竹が鳴り中国僧侶組10名の出迎えを受け、円団長を先頭に団員の僧侶20数名が左右に分かれ列をなして参道を進み、その後から檀信徒の団員が続き天王殿内を左右に分かれ通って大殿に到着。心配していた衣帯も背中から汗がしたたり落ち、やはり南国福建に来たと再確認し安堵しました。

 大殿では中国僧のお勤めが始まり我々も一緒にお経をあげる。唐音のお経は節こそ違え一緒について読む事が出来、宗祖隠元禅師の故郷でもあり修行道場でもあったこの地でお経をあげ参拝しているこの瞬間、黄檗僧で良かったという実感が暫く胸中に湧き上がりました。

 大殿でのお勤めが終わり、愈々訪中の一番の目的である隠元禅師の祀られている隠元堂での法要。日本から持参した木魚を使って開山の讃を我々があげるとそれに合わせ中国僧も一緒にあげる、とても素晴らしく有意義な時間が流れて行きました。

木魚の奉納
20周年訪中記念碑


その後青年僧の会20年の軌跡を記念碑として境内の一隅に建立、除幕を古黄檗の住職にお願いし、我々は傍で参列しました。ヤンツウチンスイからナムカンロウワン、ソレコノミズハなど日本で行われている梵唄とほとんど同じ法式で中国でも行われ、当たり前といえば当たり前ではありますが、隠元禅師が日本においでになられて340年が過ぎた今でも昔と変わらぬ梵唄や法式が受け継がれている事は、我々が諸先輩方から伝えられた事を次の青年僧にそのまま伝えていかなければならないと再確認しました。

 法要を終え残りの3日間で杭州・上海の寺院参拝や観光をしました。

 最後に、当会もこれから30年、50年と若い黄檗僧の皆様に受け継いで頂き、益々発展してゆくように精進、努力してまいります。どうぞよろしくご支援ご協力をお願い致します。





 ・日  時: 平成14年11月5日(火)〜9日(土)

 ・行  程: 11月5日: 関空→上海→福州(泊)

            6日: 福州(萬福寺)→杭州(泊)

            7日: 杭州→上海(泊)

            8日: 上海(泊)

            9日: 上海→関空





参加者報告


「青年僧古黄檗訪中団に参加して」

第10教区大願寺 高倉慧喜

 私にとっては記念すべきはじめての海外旅行。旅行の準備はすべて妻にまかせ、前日になってはじめて荷物の確認をしての出発でしたが、姫路定額寺昌三さんと一緒のため不安はまったくありませんでした。

初日、関西空港から上海、上海から福州へと飛行機で移動し、2日目の朝、ホテル出発時から色衣に着替えて、いざ万福寺へ。高速道路らしき道をひた走り、一般道路へ、そしてさらに幅員の狭い生活道路を登りつめていくと今回旅行の主目的地である中国黄檗山万福寺が見えてきました。
爆竹の歓迎を受け入山。早速、大雄宝殿にて中国僧による法要。はじめて聞く中国のお経は日頃聞き慣れている日本のお経とは少し違うように感じました。私には般若心経しかわかりませんでしたが、自坊でも中国と同じ発音・節回しで読経できないものかと思いました。

次に、隠元記念堂に移動し、先ほどと同じお経。続いていよいよ我々の出番。経本片手に大きな声を出してきました。その後、一番奥の小高い丘の上に今回の訪中記念碑が建立され、その落慶法要が中国僧により執り行われました。

私としては折角ここまで来たのだから山内見学や中国僧の方々との交流など、時間をゆっくりとってもらいたいと思っていましたが、アッという間に予定の時刻がきてしまい、お茶をいただく間もなく下山しました。

中国では時間の観念がある意味で多少ルーズなところがあると思い込んでいましたが、ここだけは日本的で時間に正確であったことが悔やまれました。もし、また古黄檗に参拝する機会があれば、今回できなかった中国僧の人たちとの交流を実現させたいと考えています。そのためには、カタコトでもいいから中国語を少しだけ勉強しておく必要があると痛感しました。

 2日目の夕方、福州から杭州へ飛行機で移動。3日目は杭州の西湖周辺を観光。中国では書・画・詩・印の4つができてはじめて人から先生と呼ばれるということをガイドさんから教えてもらいました。お寺の世界では日本でも同じだなと感心しました。 

午後、バスで上海へ移動。夜、上海雑技団を観賞。子供の頃に見た木下大サーカスよりはるかにすごいと思いました。4日目は上海市内観光。二文字屋の掘君の影響を受けてか玉仏寺参拝のおり、下関濱田和尚に無理を言って通訳してもらい中国僧の衣を購入することができました。帰ってきてからは、朝晩のお勤めにこの衣を着用しています。

 今回の旅行での収穫は、子供の頃から知っていた人も何人かおられましたが、多くの青年僧の方々と知り合えたことです。また、海外での買い物の仕方も伊丹常休寺普喜さんなどから教わり勉強になりました。都合がつけば次回も是非参加したいと思っています。


 

「古黄檗拝塔に参加して」

第5教区 観音寺新堂
鳥越大寛

 今回、青年僧の会の発足20周年記念の古黄檗拝塔の旅に参加できたことに、とても感謝しています。何故なら、私にとって古黄檗はとても思い出深いところで、今回でまたひとつ素晴らしい思い出が増えたからです。

 私は、今回で古黄檗を拝塔したのは、5回目になります。 最初に拝塔したのは高校生のときで、私にとって初めての海外旅行でした。その頃の古黄檗は、今のように諸堂も整ってなく、法堂だけがある状態でした。この頃には、現在のようになるとは、想像出来ませんでした。

 その後、3回目に拝搭したときは、私が雲水のときでした。古黄檗の禅堂落慶法要に参加し、当時管長猊下だった、林文照東堂猊下と共に禅堂で坐禅をしました。まさか古黄檗の禅堂で、坐禅が出来るとは思ってもいなかったので、とても感激しました。

 そして今回は、隠元記念堂で青年僧の会発足20周年を記念した法要に参加することができました。私は、今年初めて青年僧の会の活動に参加した新参者です。しかし、それにも関わらずこの記念すべき法要に参加できたことを、とても嬉しく思いました。その後の杭州での観光では、普通の旅行では体験できないようなことも私は体験することができ、私にとって今回の旅行は、とても楽しいものとなりました。

 最後になりましたが、今回この旅行を企画していただいた方、私の様な者を誘ってくれた方にとても感謝しています。また、このような素晴らしい機会があれば、参加したいと思います。ありがとうございました。


 

「訪中に参加して」

伊藤彰子
山本悦子

 11月5日、関西空港を後に中国へと旅立ちました。幸い天気にも恵まれ、初めての中国は私たちにとって大変興味深い所で、あっという間の4泊5日でした。

初日は移動が多く、ただひたすら乗り物に乗っているような状態だったので、ホテルに着いた後は、すぐに眠ってしまいました。翌日からは、いよいよ中国を満喫できるという期待でワクワクしていました。福州では普通の旅行で行くことのないであろう古黄檗を拝見することができ、法要にも参加させていただいたことは、大変良い経験となりました。

空気もとても澄んでおり、建物の屋根の朱とまわりの山々のコントラストはとても印象的なものでした。その他、霊隠寺の石仏や玉仏寺の白玉製の釈迦仏は日本では拝めない厳かなもので驚きも覚えました。

また、観光で回った場所は、それぞれがとてもすばらしく、特に豫園では、園内のめずらしい彫刻や建物に、園外では、沢山の店がひしめき合い、そこに集まる人の多さに圧倒されました。上海は近代的なビルが建ち並ぶ大都会でありながら、その一方で古い町並みも残っており、渾然とした様子でした。

そこを行き交う車や人々には活気があり、これからまだまだ成長していく中国のエネルギーを強く感じ、交通事情には大変驚きました。夜は雑技団の鑑賞で妙技の数々に一喜一憂し、ナイトクルーズではきれいな夜景を楽しむことができました。

最後に、このような楽しく有意義な旅行に参加させていただき、多くの方々と交流できたことは大変良い思い出となり、深く感謝いたしております。